私立高校入試に続き、公立高校推薦入試が終わりました。私立高校入試はかなりチャレンジした生徒もおりましたが、何とか全員志望のコースに合格しました。一方、公立高校推薦入試では意外な結果が見られました。
同じ高校を受験した、AくんとBくん。Aくんは内申点も十分な上、模試の成績も安定して上向いていました。模試データからの合格度は申し分ありません。一方、Bくんは模試の成績がやや不安定な上、内申点は過去の合格者の下限ギリギリでした。模試データの合格度は、とても安心できるものではありませんでした。
さらに、過去の模試でBくんがAくんの成績を上回ったことは一度もありません。そのことから、Aくんは大きな失敗さえなければ大丈夫だが、Bくんはかなり難しい挑戦になると予想していました。Bくんには「受かったらラッキーぐらいの気持ちで受けておいで」と声がけもしていました。
試験では二人とも大きな失敗はなかったそうで、それなりの手応えを感じたようでした。しかし、合格したのはBくんで、Aくんは不合格でした。
この逆転現象の要因は何なのか。判定基準や判定資料が公表されないので確かなことは分かりません。ただもしかすると、その要因は面接にあるのかもしれないと思いました。それは、Bくんのほうが面接に有利なコミュニケーションを得意とする上、面接へのモチベーションが高かったからです。
まず、二人のコミュニケーションのとり方はかなり違います。Bくんは、しっかり言葉を使います。自分の意見や考えをしっかりと言葉にし、それを物怖じせずに伝えようとします。一方Aくんは、あまり言葉を使いません。首を縦横に振るだけで意思表示することが多いですし、言葉を使っても単語を発するだけだったりします。
さらに、二人の面接へのモチベーションにも違いがありました。Bくんは自己PRの内容について自分から相談に来た上、アドバイスを受け入れて懸命にブラッシュアップに取り組みました。一方Aくんは、塾では面接の練習をしようとはしませんでした。私の質問にうまく答えられなかったことから練習を提案したところ、彼は首を横に振り「学校で」と言いました。
このようなことから、面接においてはBくんのほうがより有利だったと思うのです。(面接では有利ではなかったかもしれませんが、Aくんも様々な魅力や才能を持ったとても素敵な生徒だということを、念のため補足しておきます。)
高校入試において、面接にどれだけの比重があるのかは分かりません。選抜要項には「総合して合否を判定する」としか書かれていないからです。ただ、大学の推薦入試や企業の採用試験では面接が非常に重視されることは疑いのない事実です。そんなことから、高校入試でも面接に重きが置かれるよう変わってきているのだとしても、それはもっともなことだと思います。
そんなことを考えたとき、いろいろ反省しました。Aくんがもっと言葉を用いてコミュニケーションが取れるよう支援できることがあったのではないか?Aくんが言葉にしなくてもできるだけ汲み取るようにしてきたのは、本当は望ましいことではなかったのではないか?そんなことを考えずにはいられませんでした。
(追記:Aくんは一般入試で、無事合格しました。おめでとう🌸)