Kくんの基準で

生徒の成長

中学生になったばかりのKくん。週3回の通塾に加え、すでに自習室に通い勉強しています。勉強が好きだというわけではないようですが、自習室で黙々とやっています。親御様にさせられているわけではなく、私たちがさせているわけでもありません。彼が自分の意思でそうしているのです。

自習だけではありません。授業中も彼の意思を感じます。彼の勉強は、彼の意思によって進んでいます。

「先生、(1)と(2)だけ答え合わせをしてください。」彼が答えあわせを依頼するのは、答えを見たくないからなのです。自分の考え方で答えにたどり着きたいのです。そして、考えが確かめられたのち、以降の答えあわせは自分でやろうとします。

「先生、ここだけやって見せてください。」自分なりに考えてもどうしてもうまくいかないときや、他の考え方を知りたいときには助けを求めてきます。そして、私たちが示したやり方が良いなと感じた時は、一生懸命に自分のモノにしようとします。

「先生、5教科をバランスよく勉強するにはどうしたら良いですか。」つい先日は、勉強の仕方についてのこんな質問までありました。自分なりにいろいろと考えてみたものの、どうしても偏りが生じてしまうので、アドバイスを求めようと思ったそうです。

彼が入塾したおよそ1年前、彼の学びはとてもゆっくりとしたものでした。1回の授業での進みも、1週間の課題の量も、正直私たちの基準からすると、かなり少ないものでした。ほとんど進んでいるように見えないことすらよくありました。

ただ、彼は本当にじっくりと考えていました。聞けばすぐにわかることでも、安易に聞こうとはせず、自分で解決しようとしました。この姿勢は絶対に守らなければならない。私たちはそう考えました。だから、私たちの基準で判断するのではなく、彼の基準に立つことを心がけました。そして、彼の基準がしっかりと育つよう、支援することに注力しました。

今も、彼は自分の基準で動いています。これまでに築いてきたその基準に基づいて、力強く動いています。とはいえ、まだまだ発展途上ですので、これだけで全てがうまくいくとは考えていません。これから沢山の困難に出会うでしょう。それでも、自分の基準で動いているからこそ、その困難からさらに多くのことを学んでいくのだと思います。

KくんがKくんとして、自分の基準と共に大きく成長できる。塾が、Kくんのそんな成長の場であれるよう、一生懸命に頑張る小さな背中を、そっと見守っていきたいと考えています。

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