効果が大きいとされている学習法がいろいろあります。勉強が得意な子は、自然とそのような学習法にたどりつていていることが多いです。ただ、効果が大きいとされているのに、勉強が得意な子でもあまり実践しているのを見かけない学習法もあります。それは、交互練習と言われるものです。
交互練習とは、さまざまな種類の問題を混在させて練習する学習法です。ある問題が解法Aを使うものであれば、次の問題は解法Bを使うもの、次は解法Cを使うものと、同じ解法を使わないものを続けて練習します。これと対になる学習法がブロック練習です。これは、同じ種類の問題ばかりを連続して練習する学習法です。解法Aを学習したならば、その解法を使う問題ばかりを集中的に練習します。
この2つの学習法のうち、学習効果が大きいとされているのは交互練習です。同じ内容を、ブロック練習だけで練習したグループと、交互練習だけで練習したグループでは、後者の方が良い成績を示すことが分かっています。また、ブロック練習と交互練習を組み合わせるよりも、交互練習だけで練習した方が成績が良いという報告さえあります。
ところが、人気があるのはブロック練習です。習得するという点においては、交互練習のほうが効果が大きいのに、それにもかかわらずブロック練習のほうが人気があるのです。それはなぜなのでしょうか?
それは、交互練習よりもブロック練習のほうが身についていると錯覚しやすいからだと考えられています。交互練習は、問題ごとに想い出したり考えたりする必要があるので、しんどいですしサクサクとは進みません。一方、ブロック練習は同じ種類の問題を続けて解くので、あまり想い出したり考えたりすることなく、楽にサクサク進めることができます。だから、学習者はブロック練習の方が「身についている!」と錯覚しやすいのです。
ほとんどの教材がブロック練習を前提として作られている理由もここにあるのでしょう。本当に身につくことよりも、錯覚であっても身についていると感じられることのほうが、売れ行きにプラスになるのだと思います。実際、数少ない交互練習ができる教材も当塾では取り扱っておりますが、それを選ぼうとする生徒はほとんどおりません。(その教材にちょっとイマイチな部分もあって、強くはオススメしにくいという理由もありますが💦)
交互練習は人気がないとはいえ、学習効果はお墨付きです。成績向上を目指すのでしたら、これを使わない手はありません。ですから、生徒に自信をもっておすすめできる教材が無いのなら作ってしまおう!ということで、当塾では交互練習ができるオリジナル教材を作りました。特に基礎がなかなか身につかないと悩んでいる生徒の助けになればと考え、基礎的かつ非常によく使う問題を厳選し、それらが交互練習できるように作っています。
4月から運用を始め、すでに成果が現れてきています。熱心に取り組む生徒には、劇的な変化も見られます。中1のときに数学で20〜30点台をよく取っていた中2の生徒が80点を超える点数を取ったり、4月の始めに数学で30点ほどしか取れなかった生徒が70点近く取れるようになったりしました。さらに、もともと数学がとても苦手だった生徒が、できることが格段に増えてハイレベル教材での練習を始めるほどにもなりました。これほどではなくても、交互練習に熱心に取り組む生徒の多くに、このような好ましい変化が現れています。
ただし、全ての生徒が熱心に取り組むわけではありません。心の状態が今はまだ良くない生徒(動機づけ状態が良くない生徒)は、やはりなかなか取り組もうとはしませんし、取り組んだとしても表面的だったり、すぐに投げ出してしまったりしがちです。そして、それは交互練習に限りません。他にもさまざまな効果の大きい学習法を指導していますが、生徒がそのような学習法を受け入れるのは、心の状態が改善してからです。
望む成果を手に入れられるよう、できるだけ効果の大きい学習法を身につけてほしい。私たちはそう考えています。だからこそ、生徒たちがしっかり身につけられるよう、心の土台作り、すなわち、動機づけの改善に重点を置いて指導に取り組んでいます。