昔、風邪を引いたあとに咳が止まらなくなってしまったことがあります。とても辛かったので、咳止めがほしいと病院でお願いしたところ、このように言われました。
「止めても大丈夫な咳と、止めてはいけない咳があるんですよ。異物が肺に入らないようでている咳ならば、それは止めてはいけない咳なんです。もしもそれを止めてしまったら肺炎になってしまいます。だから咳を止める前に、咳の原因をきちんと調べることが大切なんです。」
咳が出るから、咳を止める。このように、原因に目を向けることなく症状に対して安易に対処しようとすると、問題をより深刻にしてしまうこともある。この病気を通して、私はそのことを学びました。
これは、教育においてもそのまま当てはまります。ところが、巷には安易な対処が溢れかえっているように思います。
- 勉強しないから、させる。
- 〜が分かっていないから、練習させる。
- 何回言っても聞かないから、きつく言う。
これらはすべて、咳が出るから咳を止めているようなものです。目に見える症状だけを見て、その原因に目を向けようとしていません。このような安易な対処をした結果、問題をより深刻にしてしまったケースもしばしば見受けられます。
問題をきちんと解決したいのならば、やはり原因に目を向ける必要があります。「なぜ勉強しないのだろう?」「なぜ分からないままにしてしまうのだろう?」「なぜ言っても聞かないのだろう?」そんな視点を持って、しっかりと原因を探ることが大切です。
その原因を探っていくと、多くの場合心に行き当たります。そして、その心にある原因に適切に対処することで、症状は自然と消えていきます。自分から勉強するようになりますし、分からないままにはしないようになります。言われたことを守ろうと、しっかりと気をつけるようにもなるのです。