良い勉強は、良い動機づけから

生徒の成長

自己ベストを何度も更新している中学2年生のKくん。この2月の実力テストでもまた自己ベストを更新しました。1回の上昇はそれほど大きくはありませんが、じわじわと上げ続け、中1の最初に上位60%台だった成績は、上位20%台にまで上がりました。

成績を上げ続けたり、劇的な成績向上を見せる生徒の行動には、ある共通点があります。それは、メタ認知です。メタ認知とは、自分の行動を客観的に認知することです。メタ認知する生徒としない生徒の具体的な学習行動の違いは次のとおりです。

メタ認知する生徒の学習行動
  • どんな勉強が必要かを考える
  • 本当に身についているのかを疑う
  • 何が分からないのかを特定しようとする
  • 解説をじっくり咀嚼して消化しようとする
  • 学習の障害を特定し、取り除こうとする
メタ認知しない生徒の学習行動
  • 言われたことや教材の続きを何となくやる
  • ただ解き進めるだけ
  • ただ漠然と分からない
  • 解説を丸呑みして分かったことにする
  • 何が障害なのか考えない

Kくんの行動はとてもメタ認知的です。例えば、ある休塾日の直前、Kくんは見本の問題をコピーしていました。(当塾では自由にコピー機を使ってOKです。)「塾が休みでも、学校の授業は止まらないですから。」彼はそう言いました。塾が休みになってしまう前に、手持ちの問題集では不足を感じる部分をコピーしておこうと思ったそうなのです。どんな勉強が必要かを考えるKくんらしい行動だなと感じました。

また、Kくんは英語の苦手克服のために始めた計画表による学習を途中で止めました。それは、計画があると計画を進めることが目的になってしまい、身につけることが二の次になってしまうと感じたからだそうです。実際、計画をやめた後は、計画を進めていた時以上に一生懸命に勉強するようになりました。本当に身についているのかを常に疑うKくんらしい行動だなと感じました。

「ここはなぜこのように書くのですか?」Kくんは証明問題の解答のある書き方に疑問を持っていました。その解説を聞いて一度は納得したようでした。しかし、それでもモヤモヤは、完全には消えなかったそうです。モヤモヤの原因は何だろう?そう考える中で、本当に分からないことが何なのか見えてきたそうです。「そもそも定理って何なんですか?」再びやって来てそんな質問をしました。そしてその解説によって、彼はとてもスッキリした顔になりました。解説をじっくり咀嚼して消化しようとしたり、何が分からないかを特定しようとしたりするのが、とてもKくんらしいなと感じました。

さらに、Kくんはテスト前の提出物ワークの完成がテスト勉強の障害になっていると感じたそうです。それからはワークがたまらないようにと、普段から学校授業よりも先にワークを進めるようになりました。学習の障害を特定し、取り除こうとするKくんらしい行動だと思いました。

では、Kくんはなぜこのような行動をとるのでしょうか?

それは、動機づけが良いからです。良い動機づけ、すなわち、自律的な動機づけから生じる行動はメタ認知的な学習行動につながることが、さまざまな研究で明らかにされています。そのような動機づけをもつ生徒の関心ごとは、多くの場合「できるようになること」です。何とかできるようになりたい。そう思って取り組むのですから「どんな勉強が必要か」と考えることはとても自然なことだと思います。

一方、良くない動機づけ、すなわち、統制的な動機づけから生じる行動は、メタ認知的な行動につながりません。そのような動機づけをもつ生徒の関心ごとは、多くの場合「終わらせること」です。押し付けられた面倒なことを手っ取り早く終わらせたい。そう思って取り組むのですから、「どんな勉強が必要か」などと考えるはずもありません。

お子様の勉強はいかがでしょうか?ただ終わらせるためだけの勉強になっていませんでしょうか?もしそうならば、おそらく動機づけが良くないのだと思います。そのような時、行動をいくら変えさせようとしても、変えられないでしょう。しかし、動機づけが改善すれば、行動は変わります。変えさせようとしなくても、自然と良いものに変わるのです。

お子様の学習の問題を根本的に解決したい。もしそうお考えならば、動機づけの改善に取り組まれることをお勧めします。

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