今年も公立高校入試が終わりました。今年は例年以上に生徒のやる気が大きく育ちました。その中でも特に大きなやる気を出した生徒の一人がHくんです。彼が入塾した中3の夏休み、苦手の英語は中1のbe動詞すらもあやふやな状態でした。そんな彼でしたが、メキメキと力をつけ、入試直前の模試では80点を取るまでになりました。およそ半年で、彼の英語は入試でも十分に戦えるものとなりました。そして、半年前の彼には到底届かなかった志望校への道を、彼は難なく手にしたのです。
では、なぜ彼はこれほど急速に力をつけられたのでしょうか?それは、彼の持ち前の理解力が高かったこともあると思いますが、なんといっても、大きなやる気をもって取り組んだからだと思います。
彼は、毎日のように塾の自習室に通い、黙々と学習に取り組みました。私たちより早く来て塾が開くのを待っている日もありました。授業の後には、友達を待たせてでも居残りで勉強しました。「先生、ちょっと教えてもらって良いですか?」完全帰宅時間の放送が流れているのにもかかわらず、そう質問してくることもありました。遅くなるといけないからまた明日やろうと帰宅を促すと、「じゃぁ、一つだけ!」と食い下がりました。また、ちょっとした隙間時間があれば、彼はいつも単語帳を開いていました。「1週間に70個ずつやる。」彼は自分でそう決めた単語学習をやり続けました。
これほどのやる気を見せたHくんですが、彼が入塾した中3の夏、彼の動機づけ診断の結果はそれほど良いものではありませんでした。彼は勉強をどこか義務のように感じているようでした。「なんとなくしなければならない気がするから仕方なくする。」Hくんが勉強する理由の多くを占めていたのは、そのようなものでした。彼は勉強することを自己決定していませんでした。外からの圧力で選ばされていたのです。
やる気の源泉は、自己決定することです。私たちは彼がうまく自己決定できるよう支援しました。すると彼は、すぐにさまざまなことを自分で決めるようになっていきました。そして、入塾から1ヶ月が立つ頃には、すっかり自分のための勉強をするようになりました。なんとなくしなければならない勉強をする生徒と、自分がするべきだと思う勉強をする生徒の表情は全く違います。彼の表情は明らかに後者のものでした。そして、入塾3ヶ月の診断では、彼の動機づけは劇的に改善していました。
では、なぜ彼のやる気はこれほど急速に育まれたのでしょうか?急速にやる気を高める生徒にはある共通点があります。それは、親御様がお子様の自律性を支援されているということです。そして、Hくんの親御様は、やはり例に漏れず、お子様の自律性を大切にされていました。親御様の考えを優先させるのではなく、Hくんの考えを尊重されていました。
実は、Hくんがこの塾に入塾したのもHくんの考えを尊重されたからだそうです。「私の選択肢には入っていなかったが、子どもがこの塾が良いと言うから。」入塾の際には、はっきりとそのように仰いました。また、ここに書くことはできないのですが、それほどまでにHくんの自律性を大切にされているのだと衝撃を感じたエピソードもありました。親御様は、Hくんを操作する対象とは見なさず、一人の意思ある人間として接しておられたのです。
Hくんがやる気を高めたことは、完全にやる気の科学が示す通りでした。データを取り始めて、まだそれほどの年月が経ったわけではありませんが、私たちはこの例外を未だ見たことがありません。
「今は正直、勉強したいって気持ちです。」
無事受験を終えて、それでも自習に来ていたHくんに話を聞きました。彼はやはり、外からの圧力ではなく、自分の意思で勉強しているようです。(Hくんが生徒の声を書いてくれました。ここをタップでジャンプ)